有料職業紹介の許可を取ったらやること【1年目の年間予定】
ROSTER 編集部/公開:
開業準備 / 法定業務 / 事業報告書
有料職業紹介事業の許可を受けた事業者が1年目にやることを、時期順の年間予定に整理しました。許可証と手数料表の公開、人材サービス総合サイトへの掲載、求人・求職ごとの明示と管理簿、変更届の期限、6か月後の在籍確認、4月30日までの事業報告書、許可の更新と責任者講習まで、職業安定法と業務運営要領をもとに整理しています。
この記事のポイント
- 許可が
出たら、 許可証を 事業所に 備え、 手数 料表などと 一緒に 掲示か サイトで 公開します。 - 1年目の
事業報告書は 翌年4月30日までに 出し、 対象は 許可日から 3月31日までと 案内されています。 - 新規の
許可は 3年で 切れるので、 満了日の 3か 月前までに 更新を 申請します。
有料職業紹介の許可を受けたら、許可証を事業所に備えて公開し、手数料表などを掲示かサイトで知らせるところから始めます。あとは求人・求職を受け付けるたびの明示と管理簿の記入を続け、翌年4月30日までに事業報告書(様式第8号)を出します。新規の許可は3年で切れるため、満了日の3か月前までに更新を申請します。
迷いやすいのは、「1年目の事業報告書はいつからいつまでの分か」「人材サービス総合サイトに何をいつ載せるか」「変更届は何日以内か」の3点です。この記事では、架空の事業所A(例:2026年10月1日許可、事業所は1か所)の1年目を通しで追います。
法令は職業安定法(以下「法」)・同施行規則(以下「規則」。e-Gov 法令検索の現行版)、運用は厚生労働省の職業紹介事業の業務運営要領(令和8年10月版。以下「要領」)を下敷きにしました。労働局ごとの案内は、その局の名前を添えています。2026年11月6日に読み直しました。
1年目の年間予定(早見表)
事業所Aの日付で並べています。許可日が違う場合は、「許可の日から」の行と更新の行をご自身の日付に読み替えてください。
| 時期(事業所Aの例) | やること | 根拠 |
|---|---|---|
| 2026年10月1日(許可の日)から | 許可証を事業所に備え、掲示かサイトで公開する | 法第32条の4第2項、要領 第9の8(8)ハ |
| 同上 | 手数料表・返戻金制度・業務運営規程を掲示かサイトで公開する | 規則第24条の5第4項 |
| 同上 | 人材サービス総合サイトに手数料と返戻金制度を載せる | 規則第24条の8第3項第4号・第5号 |
| 求人・求職を受け付けるたび | 取扱職種の範囲などを明示し、管理簿に書く | 法第32条の13、法第32条の15 |
| 求人を紹介するたび | 労働条件等を求職者に明示する | 法第5条の3第1項 |
| 届け出た事項が変わったら | 原則10日以内、責任者の氏名・住所などは30日以内に変更届 | 規則第23条第2項 |
| 無期雇用で入社した人の6か月後 | 6か月以内に辞めていないかを雇用主に確かめる | 規則第24条の8第5項 |
| 2027年3月31日(水) | 1年目の締め。報告に使う数を固める | 規則第24条の8第3項 |
| 2027年4月30日(金)まで | 事業報告書(様式第8号)を出す | 法第32条の16、規則第24条の8第1項 |
| 2027年4月30日の提出後すぐ | サイトに平均手数料率を載せる | 要領 第9の6(1) |
| 2027年5月1日(土)まで | サイトの就職者数を前年度分に替える | 規則第24条の8第3項・第4項 |
| 2029年6月30日(土)まで(見込み) | 許可の有効期間の更新を申請する | 規則第22条第1項 |
最後の行は、満了日が2029年9月30日になる場合の計算です。期限の6月30日は土曜なので、窓口に出すなら6月29日(金)までです。満了日は許可証に書かれているので、許可証の日付から3か月前を数えてください。
許可が出た週に整えること
許可証を備えて公開する
許可証は、事業所ごとに備え付けます。関係者から求められたら見せなければなりません(法第32条の4第2項)。あわせて、事業所内の見やすい場所への掲示か、インターネットなどで公開します(要領 第9の8(8)ハ)。
掲示しない場合でも、備え付けと提示の義務は残ります。来客が少ない事業所なら、自社サイトに許可番号と許可証の画像を載せる形が現実的です。
手数料表・返戻金制度・業務運営規程を公開する
公開するのは、手数料表、返戻金制度を書いた書面、業務の運営に関する規程の3つです(規則第24条の5第4項)。返戻金制度は、紹介で入社した人が早く辞めたときに手数料を返す決まりを指します。掲示かサイトのどちらかで、いつでも見られる状態にしておきます。
手数料表の作り方と掲示の例は有料職業紹介の手数料表の書き方で、返金の決まりの作り方は人材紹介の返金規定の雛形と相場で扱っています。
人材サービス総合サイトに手数料と返戻金制度を載せる
人材サービス総合サイトは、厚生労働省が運営する職業紹介事業者の情報サイトです。就職者数のような実績は年度ごとに載せますが、手数料と返戻金制度は「その時点における情報」を載せます(規則第24条の8第3項)。つまり、実績がまだない1年目の初めから、手数料と返戻金制度は載っている必要があります。
掲載には専用のIDとパスワードを使います。新規の事業者にいつ・どの経路で届くかは、公式の資料で確かめられませんでした。手元に見当たらなければ、管轄の労働局に問い合わせてください(東京労働局は再発行の手続を案内しています)。
求人・求職を受け付けるたびにやること
申込みを受けたら、事業者としての案内を明示する
求人・求職の申込みを受けたら、速やかに次の5つを書面などで示します(法第32条の13、規則第24条の5第1項・第2項)。
- 取扱職種の範囲等
- 手数料に関する事項
- 苦情の処理に関する事項
- 求人者の情報と求職者の個人情報の取扱い
- 返戻金制度に関する事項
書面の交付が原則で、相手が希望すれば、印刷できる形のメールやSNSのメッセージでも構いません。東京労働局は、どの方法を希望するかを申込みの受付と同時に確かめてよいと案内しています。登録フォームに「メールでの受け取りを希望する」欄を作り、受付の返信メールに案内のPDFを付けると、渡し忘れがなくなります。
求人を紹介するときは、労働条件等を明示する
求人を紹介するときは、別に、その求人の業務の内容・賃金・労働時間などを求職者に明示します(法第5条の3第1項)。こちらは求人ごとの書類です。上の5つの案内とは別の義務なので、一方を渡せば他方が不要になるわけではありません。
項目と雛形は職業紹介の労働条件等明示書の雛形と書き方にあります。
管理簿に書く
帳簿は、求人求職管理簿と手数料管理簿の2つです(法第32条の15、規則第24条の7)。求人・求職を受け付けた日、紹介した時期と採否、入金の日などを、その都度書き足します。保存期間は、求人求職管理簿が求人・求職の有効期間が終わってから2年間、手数料管理簿が手数料の徴収完了後2年間です(要領 第7の6(4))。
帳簿を作らない・備えない場合は、30万円以下の罰金の対象です(法第66条第6号)。記入例は求人求職管理簿・手数料管理簿の書き方を見てください。
届け出た事項が変わったとき
許可申請書に書いた事項が変わったら、変更届出書(様式第6号)を出します(法第32条の7第1項)。期限は、変わった日の翌日から数えて決まっています(規則第23条第2項)。
| 変わったこと | 期限 |
|---|---|
| 職業紹介責任者の氏名・住所 | 30日以内 |
| 登記事項証明書を付けて届け出る変更 | 30日以内 |
| それ以外の変更 | 10日以内 |
| 届出制手数料の手数料表 | 変える前に届け出る(様式第3号) |
事業主や事業所の名称・所在地が変わったときは、許可証の書換えの申請も併せて出します(規則第23条第2項、要領 第4の5(1)ロ)。どの変更に登記事項証明書が要るかは、変更の内容で決まります。迷ったら、短いほうの10日を目安に早めに出してください。届出をしなかったり、うその届出をしたりすると、30万円以下の罰金の対象です(法第66条第3号)。
届出制手数料の手数料表は、変えた後ではなく、変えようとするときに届け出ます(規則第20条第6項)。料率を上げる前に届出が要る点が、ほかの変更届と違います。
入社から6か月たったら在籍を確かめる
期間の定めのない雇用で入社した人(無期雇用就職者)について、6か月以内に辞めていないかを雇用主に確かめます(規則第24条の8第5項)。この数は、人材サービス総合サイトと事業報告書の離職の欄に使います。
確かめた結果は、調べた日と方法と一緒に求人求職管理簿に書きます(要領 第7の6(3)イ(イ)⑪・(ロ)⑦)。事業所Aで2027年1月12日(火)に入社した人がいれば、6か月が過ぎた7月13日以降に確認の連絡を入れます。返戻金制度があり、返金した人数で数える方法をとるなら、この調査は要りません(規則第24条の8第6項)。
3月31日の締めと、4月の事業報告書
1年目の対象期間
事業報告書は、毎年4月30日までに、事業所ごとに作って出します(法第32条の16第1項、規則第24条の8第1項)。対象は前年4月1日から3月31日までです(要領 第7の7(1))。
許可1年目について、大阪労働局は「許可年月日~3月末日」を対象と案内しています(職業紹介事業報告書セミナー、令和8年3月)。事業所Aなら2026年10月1日から2027年3月31日までです。他の労働局の明示は見つけられなかったので、管轄の労働局にも確かめてください。
1年目に気をつけること
- 期限:2027年は4月30日(金)です
- 実績がなくても出します。書き方は実績なしの事業報告書にあります
- 離職の欄は、前々年度(事業所Aなら2025年度)に就職した人が対象です。1年目は該当する人がいません
- 紙で出すなら、正本1部と写し2部です(要領 第7の7(1))
- 期限までに出さないと、是正指導や行政処分の対象になると大阪労働局は案内しています
3月31日の終業時に、求人数・求職者数・就職件数・手数料の入金額をその日の数で控えておくと、4月の集計で迷いません。欄ごとの書き方は様式第8号の書き方、常用と無期の区別は常用・臨時・日雇と無期雇用の数え方、電子申請はe-Govで出す手順で扱っています。
5月1日までに人材サービス総合サイトを更新する
就職者数と無期雇用就職者数は、毎年4月中は前々年度までの数のままで構いません。5月1日からは前年度の数を載せます(規則第24条の8第3項・第4項)。事業所Aなら、2027年5月1日までに2026年度(10月1日からの半年分)の数を入れます。
手数料の情報には、前年度の常用就職の件数が多い5つの職種について、平均手数料率を含めます。事業報告書を出した後、速やかに掲載します(要領 第9の6(1))。前年度の常用就職が10件以下の職種は、載せなくて構いません。
離職者数は、4月1日から12月31日までは前々年度までの数のままでよく、1月1日から前年度の数を載せます(規則第24条の8第3項・第4項)。事業所Aの2026年度の就職者の離職状況は、2028年1月1日までに載せることになります。
1年を通して続けること
個人情報の規程を守らせる
許可申請で出した個人情報適正管理規程は、作って終わりではありません。事業者自らが守り、従業者にも守らせることとされています(要領 第9の4(2)ハ)。規程には、個人情報を扱える人の範囲と、扱う人への研修を書いているはずです。
人を雇ったら、その人を範囲に入れ、研修を済ませてから求職者の情報に触れてもらいます。
職業紹介責任者の役目
職業紹介責任者は、苦情の処理、求人・求職者の情報の管理、従業者への教育などを統括します(法第32条の14)。要領は、責任者が「厚労省人事労務マガジン」で法令改正の情報をつかむよう努めることとしています(要領 第9の8(4)ロ)。東京労働局のページは、登録しなければならないと書いています。
労働局からの報告の求め
労働局は、職業紹介事業者に報告を求めたり、事業所に立ち入って帳簿を調べたりできます(法第50条)。報告をしない・うその報告をすると、30万円以下の罰金の対象です(法第66条第9号)。管理簿を日々付けておくことが、そのまま立入りへの備えになります。
3年目の更新に向けて
許可の有効期間は、新規が3年、更新後は5年です(法第32条の6第1項・第5項)。更新申請書(様式第1号)は、満了日の3か月前までに出します(規則第22条第1項)。手数料は1事業所あたり1万8,000円です(規則第22条第2項)。更新のときも資産の基準があり、基準資産額が350万円に事業所数を掛けた額以上であることが求められます(要領 第3の6(1))。
更新のときは、職業紹介責任者が満了日の前5年以内に講習を修了している必要があります(要領 第3 許可基準のうち職業紹介責任者の要件)。許可申請の前に受けた講習が、更新時に5年を超えていないかを先に確かめます。
東京労働局と大阪労働局は、変更届や事業報告書の出し忘れがあれば、更新の前に出すよう案内しています。1年目からの届出を漏らさないことが、3年後の更新を楽にします。
よくある質問
許可日が3月下旬で、1年目が数日しかありません
大阪労働局の案内どおりなら、許可日から3月31日までの分を4月30日までに出します。数日で実績がなくても、実績なしとして出す扱いです。管轄の労働局の扱いは、電話で確かめてください。
求人がまだ1件もない月も、管理簿は要りますか
帳簿は事業所に備えておくものです。書くことがない月は、記入する行がないだけです。最初の求人・求職を受け付けた日から書き始めれば足ります。
事業所を増やすときも変更届ですか
事業所の新設も変更届出書(様式第6号)で、事業計画書などを付けます(法第32条の7第1項、規則第23条第3項)。新しい事業所の分の許可証が交付され(法第32条の7第3項)、その事業所にも、原則として職業紹介責任者を置きます。
参考にした資料
- e-Gov 法令検索 職業安定法。第5条の3、第32条の4、第32条の6、第32条の7、第32条の13〜第32条の16、第50条、第66条
- e-Gov 法令検索 職業安定法施行規則。第20条、第22条、第23条、第24条の5〜第24条の8
- 厚生労働省 職業紹介事業の業務運営要領(令和8年10月版)。第3、第7の6・第7の7、第9の4・第9の6・第9の8
- 大阪労働局 職業紹介事業報告書セミナー(令和8年3月)
- 東京労働局 有料・無料職業紹介関係
- 東京労働局 人材サービス総合サイトへの情報掲載等について
- 厚生労働省 人材サービス総合サイト
