職業紹介事業報告書は実績なしでも提出【書き方と迷う場面の早見表】

公開: 2026-10-18

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事業報告書 / 様式第8号 / 法定業務

紹介実績がゼロの年の職業紹介事業報告書(様式第8号)について、「実績なし」の書き方、許可直後の短い期間、求人だけ・手数料だけの年、複数事業所、休んでいる年、出さなかったときの処分の流れまで、労働局の資料をもとに整理しました。

紹介の実績がゼロでも、職業紹介事業報告書は毎年4月30日までに出します。2027年の期限は4月30日(金)です。実績がない年は1・2・3・7・8・9欄だけを書き、第1面の余白に「実績なし」と書けば足ります(東京労働局 よくある質問)。

迷いやすいのは、「求人だけ・手数料だけある年は実績なしなのか」「許可から数日しかない1年目」「出さずにいると何が起きるか」の3点です。欄ごとの書き方は職業紹介事業報告書(様式第8号)の書き方にまとめたので、この記事は実績が少ない年の扱いに絞ります。

下敷きにしたのは職業安定法と施行規則、業務運営要領(令和8年10月版)、東京・大阪・広島・愛知の各労働局の案内、静岡・埼玉労働局の報道発表です。どれも2026年10月18日に読み直しました。資料が答えていない場面は末尾の「資料に答えがなかった点」にまとめたので、主たる事務所を管轄する都道府県労働局(以下「管轄の労働局」)に確かめてください。

場面ごとの早見表

場面書き方根拠
求人・求職・就職・手数料がすべてゼロ実績なし(1・2・3・7・8・9欄と余白の「実績なし」)東京・大阪・広島労働局
2027年3月に許可を受けた許可日〜2027年3月31日の分を4月に提出東京・大阪労働局
求人は受けたが求職者がいない(逆も)4欄の求人または求職に数を書く記載要領5(1)〜(3)
就職は決まったが手数料の入金が4月以降就職件数を書き、手数料は入金した年度に回す大阪労働局
前の年度に決まった人の手数料だけが入金6欄に手数料を書く厚生労働省の様式の入力案内
今年度はゼロだが、前年度に無期雇用で決まった人がいる4欄④の離職・不明を書く記載要領2・5(4)
事業所が2つあり、片方はゼロゼロの事業所も1枚作る施行規則第24条の8第1項
年度の途中で事業所を新設・廃止した新設日から、または廃止日までの分を作る東京労働局
紹介を休んでいる許可がある限り提出(この記事の読み)法第32条の16

「根拠」が労働局の名前になっている行は、その労働局の案内です。根拠の中身と、この記事が読みを補った部分は、後の節で説明します。

「実績なし」の書き方

東京労働局・大阪労働局・広島労働局は、実績がない年は1・2・3・7・8・9欄を記入し、第1面の余白に「実績なし」と書くよう案内しています。東京・大阪・愛知・広島の各労働局は、実績なし用の Excel 様式を別に載せています。どれも書く欄は同じなので、管轄の労働局の様式があればそれを使ってください。

欄実績がない年に書くこと
1 許可番号許可証の番号
2 事業所の名称・所在地本店ではなく、その事業所のもの
3 紹介予定派遣「無」
7 従事者数3月31日時点の人数。職業紹介責任者を含むので、1以上になる
8 返戻金制度制度の有無と、有の場合はその概要
9 従業員教育実施した日時・人数・内容。していなければ「未実施」

7欄は、実績がない事業所でも、少なくとも職業紹介責任者の数以上になります(大阪労働局「職業紹介事業報告書セミナー」令和8年3月)。0と書くと、責任者がいない事業所に見えてしまいます。

8欄が聞いているのは、制度があるかどうかです(記載要領11)。返金した実績がなくても、手数料表や契約書で返金の決まりを定めていれば「有」と書いて概要を添える、とこの記事は読みます。

9欄は、職業紹介責任者のほかに従業者がいない事業所なら書かなくてかまいません(東京労働局 よくある質問)。従業者がいて研修をしていないときは「未実施」と書きます(東京労働局 実績なしの記載例)。

4欄(求人・求職・就職・離職)と6欄(収入)は書きません。3つの労働局が書く欄として挙げるのは1・2・3・7・8・9欄だけで、数字の欄を0で埋めるようには求めていません。大阪労働局の実績なし様式は、問い合わせ用に担当者の氏名と連絡先を余白に書くよう求めています。

「実績なし」に入らない年

「実績なし」の範囲を定義した資料は見つかりませんでした。この記事は、4欄と6欄に書く数が1つでもあれば実績ありの様式で書く、と読んでいます。間違えやすいのは次の3つです。

求人だけ、求職だけの年

求人数は受け付けた求人の数、新規求職申込件数は申込みを受けた件数です(記載要領5(1)・(3))。就職がゼロでも、求人を1件受けていれば4欄①に数が入ります。

3月31日の時点で有効な求人や求職者が残っていれば、有効求人数・有効求職者数の欄にも数が入ります(記載要領5(2))。2年目以降は、前の年度に受けた求人がまだ有効なことがあるので、3月末に一覧を確かめておきます。

一方、求人企業に営業をかけただけで、求人の申込みを受けていなければ、求人数には数えません。

就職と手数料の年度がずれる年

手数料は、対象期間に入金された額を書きます(大阪労働局 同セミナー)。3月に入社して手数料が4月に入金されると、就職件数は今年度、手数料は来年度の報告に入ります。今年度は就職1件・手数料なし、来年度は就職なし・手数料ありという形になります。

厚生労働省の様式(Excel)の第2面には、「手数料のみの場合は」職種の区分を選ぶよう入力案内があります。就職がない年の手数料も、6欄に書くということです。どちらの年も実績ありの様式で書きます。

前の年度に無期雇用で決まった人がいる年

4欄④の離職欄だけは、報告の前々年4月1日〜前年3月31日に無期雇用で就職した人が対象です(記載要領2・5(4))。2027年に出す報告書なら、2025年度に決まった人です。

今年度の紹介がゼロでも、前の年度に無期雇用で決まった人がいれば、6か月以内に辞めたかどうかを書く必要があります。許可1年目は前の年度がないので、ここは0になります。2年目に紹介が止まった事業者が見落としやすい欄です。

許可1年目で、期間が短いとき

許可後最初の報告の対象期間は「許可年月日~3月末日」です(大阪労働局 同セミナー)。東京労働局の令和8年の案内も、許可日が4月2日以降なら許可日から3月31日まで、としています。

たとえば2027年3月25日に許可を受けたら、対象期間は3月25日〜3月31日の7日間です。この7日間に何もなくても、2027年4月30日までに実績なしで出します。

提出を受け付けるのは4月1日からです(東京労働局)。広島労働局のセミナー資料は、3月中に出されたものは受理できないと書いています。3月に書き上げても、出すのは4月に入ってからにしてください。

2027年4月に許可を受けた場合は、2026年度に許可がないので、2027年4月に出すものはありません。最初の報告は2028年4月です(東京労働局の期間の決め方から読んだもの)。

事業所が複数あるとき、新設・廃止したとき

報告書は事業所ごとに作ります(施行規則第24条の8第1項)。大阪労働局は、事業所ごとに作ることと、取扱実績がなくても提出が必要なことを並べて説明しています。本店だけで紹介していて支店はゼロ、という年も、支店の1枚を実績なしで作ります。

作った報告書は、主たる事務所を管轄する労働局にまとめて出します(記載要領1)。紙で出すとき、東京労働局は全事業所の正本を1組、写しをそれぞれ1組にして、クリップで留めるよう求めています。

年度の途中で事業所を新設したら、新設日から3月31日までの分を作ります。廃止したら、4月1日から廃止日までの分です。東京労働局は、廃止届とあわせて事業報告書を出し終えていれば、4月にもう一度出す必要はないと案内しています(いずれも東京労働局「職業紹介事業報告の提出方法等について」)。

紹介を休んでいる年

職業安定法と施行規則には、職業紹介事業の休止を届け出る手続がありません。報告書を出す義務は有料職業紹介事業者にかかるので(法第32条の16第1項)、許可が残っている限り、実績なしで毎年出すとこの記事は読んでいます。

再開の見込みがなければ、廃止届(様式第7号)を出す道もあります。廃止の日の翌日から10日以内に、正本と写しの2部に全事業所の許可証を添えて出します(業務運営要領 第4の5(2))。その場合も、廃止日までの報告書は要ります。

実績ゼロの年が続いても、そのことで処分を受けるという定めは、確認した資料にありませんでした。ただし許可の更新では、事業計画書(様式第2号)の有効求職者数の欄に、直近年度の事業報告書の数を書きます(様式第2号 記載要領5)。報告書の数は、更新の書類にそのまま引き継がれます。

出さなかったときに起きること

2026年に入ってからも、事業報告書を出さなかった職業紹介事業者への処分が公表されています。静岡労働局(2026年3月10日)は1社、埼玉労働局(2026年7月23日)は2社です。

報道発表に書かれた経過は、どれも同じ順番でした。

  1. 2024年度分の報告書を、期限を過ぎても出さなかった
  2. 労働局の指導(法第48条の2)に従わなかった
  3. 報告の求め(法第50条第1項)にも応じなかった
  4. 事業停止命令(法第32条の9第2項)と業務改善命令(法第48条の3第1項)を受けた

事業停止は、報告書を出すまで全ての職業紹介事業が対象です。改善命令の中身は、未提出の年度の報告書を出すことでした。発表には社名と許可番号が載っています。

3社の許可日は、2023年8月から2024年3月です。どれも、許可後2回目にあたる報告を出していませんでした。紹介が動いていない時期ほど、4月の提出を忘れやすいと考えておいたほうが安全です。

法第50条第1項の報告をしない、または虚偽の報告をすると、30万円以下の罰金の対象です(法第66条第9号)。期限に遅れたときの受付の扱いを書いた資料は見つからなかったので、気づいた時点で管轄の労働局に連絡してください。

人材サービス総合サイトもゼロのまま放置しない

人材サービス総合サイト(厚生労働省が運営する、職業紹介事業者の実績を公開するサイト)にも、実績がない年の数を載せます。東京労働局の実績なしの記載例は、就職者の実績がなければサイトの就職者欄に0を入れる、と例を示しています。

同じ記載例は、掲載がない場合は法第48条の2に基づく指導の対象になるとしています。就職者数は、5月1日からは前年度の数を載せている必要があります(施行規則第24条の8第3項・第4項)。

手数料と返戻金制度は、実績に関係なく、その時点の内容を載せます(施行規則第24条の8第3項第4号・第5号)。平均手数料率は常用就職が10件以下の職種なら載せなくてよいので(業務運営要領 第9の6(1))、ゼロの年は計算するものがありません。

事業所が複数あっても、サイトには事業所ごとに入力できません。合算した数を入れます(人材サービス総合サイト よくあるご質問)。サイトの年度の数え方と離職者数の載せ方は、常用・無期雇用の数え方の記事で書きました。

資料に答えがなかった点

次の4つは、確認した資料に答えがありませんでした。当てはまる場合は、提出前に管轄の労働局に聞いてください。

  • 求人だけ・求職だけの年に、実績ありの様式で数のない欄を空欄にするか0と書くか
  • 今年度の紹介はゼロで、4欄④の離職欄だけに書く数がある年に、実績なしの様式を使えるか
  • 紹介を休んでいる間に、届出など報告書のほかにする手続があるか
  • 期限を過ぎてから出した報告書の受付の扱い

よくある質問

Q. 管轄の労働局に実績なし用の様式がありません。 A. 通常の様式第8号で、1・2・3・7・8・9欄を書いて余白に「実績なし」と書きます。東京労働局と広島労働局は、この書き方で案内しています。

Q. 電子申請(e-Gov)でも、実績なしで出せますか。 A. 出せないとする資料は見当たりません。東京労働局は、実績の有無にかかわらず提出が必要と書いたうえで、電子申請か郵送での提出を求めています。e-Gov の手続名の選び方とファイル名は、様式第8号の書き方の記事で触れています。

Q. 求職者と面談はしたが、登録の申込みは受けていません。 A. 新規求職申込件数は、求職の申込みを受けた件数です(記載要領5(3))。申込みを受けていない面談は数えません。どこからを申込みとするかは、業務運営規程と求職管理簿の付け方に合わせてください。

参考にした資料

ROSTER では、登録した求人・候補者・成約から様式第8号を年度ごとに集計し、求人も就職もない年度は、画面に「実績なし」と書くよう案内を出します。集計は組織単位なので、事業所ごとに分けた報告書は作れません。人材サービス総合サイトへの入力と e-Gov での提出は、ご自身で行ってください。集計を画面で見るだけなら Free プラン、印刷・PDF・CSV に出すには有料プラン(Solo・Pro・Max)が必要です。1年間の段取りは無料の有料職業紹介事業 開業1年目の実務ガイドで、プランの違いは料金ページで確かめられます。

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