求人求職管理簿・手数料管理簿の書き方【記入例と保存期間の早見表】
ROSTER 編集部/公開:
管理簿 / 法定業務 / 事業報告書
有料職業紹介事業者が事業所ごとに備える求人求職管理簿と手数料管理簿について、法定の記載事項、架空の事業所の記入例、紙・Excel・システムでの作り方、保存期間、よくある間違い、事業報告書(様式第8号)との対応を、業務運営要領と労働局の記載例をもとに整理しました。
有料職業紹介事業者は、事業所ごとに「求人求職管理簿」と「手数料管理簿」の2つを備えます(職業安定法第32条の15、施行規則第24条の7)。書く項目は業務運営要領が決めていますが、様式は自由です。紙でも Excel でもシステムでもかまいません。保存期間は、求人求職管理簿が求人・求職の有効期間の終了後2年間、手数料管理簿が手数料の徴収完了後2年間です。
迷いやすいのは、「手数料管理簿の日付は請求日か入金日か」「転職勧奨が禁止される期間の終わりの日」「6か月以内の離職をどう書くか」の3点です。この記事では、架空の事業所Aの1件の紹介を、求人管理簿・求職管理簿・手数料管理簿に通して書き込んでいきます。
下敷きにしたのは、職業安定法と施行規則(e-Gov 法令検索の現行版)、厚生労働省の業務運営要領(令和8年10月版。以下「要領」)、宮城・佐賀・山口・岡山・福島の各労働局が出している管理簿の様式と記載例です。2026年10月18日に読み直しました。
2つの帳簿の早見表
| 項目 | 求人求職管理簿 | 手数料管理簿 |
|---|---|---|
| 根拠 | 法第32条の15、規則第24条の7、要領 第7の6(3)イ | 法・規則は同じ。要領 第7の6(3)ロ |
| 書く項目 | 求人11項目・求職7項目 | 5項目 |
| 書くとき | 求人・求職を受け付けたとき、紹介したとき、採否が出たとき、6か月後 | 手数料が入金されたとき |
| 保存期間 | 求人・求職の有効期間の終了後2年間 | 手数料の徴収完了後2年間 |
| 備える場所 | 職業紹介を行う事業所ごと | 同じ |
| 無料職業紹介 | 必要 | 不要 |
求人求職管理簿は法令上は1つの帳簿ですが、佐賀労働局や岡山労働局の様式は「求人管理簿」と「求職管理簿」の2枚に分けています。2つの様式とも求職管理簿に求人の番号(求人受理番号)を書く欄があり、どの求人に紹介したかを番号で辿れるようにしています。
紙・Excel・システムのどれでもよいか
どれでもかまいません。要領は、様式は「任意のものを使用して差し支えない」としています。決まっているのは書く項目のほうです。労働局の様式から列を減らすと、その項目の記載が漏れます。
電子データで持つ場合は、ファイルとして保存し、必要なときにすぐ画面に出して印刷できる状態にしておきます(要領 第7の6(3))。紙の帳簿をスキャンして保存する方法も認められています。
立入検査で見られる帳簿として、要領が最初に挙げるのがこの2つです(要領 第11の5)。作っていない、事業所に置いていない、中身が虚偽の場合は30万円以下の罰金の対象で(法第66条第6号)、許可の取消しや事業停止の理由にもなります(法第32条の9)。
架空の事業所Aの1件
数字と名前はすべて説明用の架空のものです。
事業所A:2026年10月1日に許可。届出制の手数料表で、求人企業から手数料を受け取っている。
| 日付 | できごと |
|---|---|
| 2026年10月5日 | みほん商事(架空)の東京本社から、法人営業2名の求人を受け付ける。有効期間は2027年1月31日まで |
| 2026年10月8日 | Bさん(架空)の求職を受け付ける |
| 2026年10月20日 | Bさんをみほん商事に紹介。同じ日にEさん(架空)も紹介 |
| 2026年11月 | Bさんは採用(期間の定めのない雇用)、Eさんは不採用 |
| 2026年12月1日 | Bさんが入社 |
| 2027年1月29日 | 紹介手数料が入金される |
| 2027年6月7日 | 6か月以内に辞めていないかを、みほん商事に書面で確かめる |
求人管理簿の記載事項と記入例
| 要領の項目 | 書くこと | 事業所Aの例 |
|---|---|---|
| ①求人者の氏名又は名称 | 法人は名称。事業所が複数あれば、採用選考をする事業所 | 株式会社みほん商事 東京本社 |
| ②求人者の所在地 | 所在地 | 東京都千代田区(架空) |
| ③求人に係る連絡先 | 採用選考の連絡をする担当者の氏名と電話番号 | 人事部 見本花子 03-0000-0000 |
| ④求人受付年月日 | 受け付けた日 | 2026年10月5日 |
| ⑤求人の有効期間 | 有効期間があればその期間。終わったらその都度記録 | 2027年1月31日まで |
| ⑥求人数 | 募集する人数 | 2人 |
| ⑦求人に係る職種 | 従事する業務の職種 | 法人営業 |
| ⑧就業場所 | 業務に従事する場所 | 東京都千代田区(本社) |
| ⑨雇用期間 | 雇用の期間 | 期間の定めなし |
| ⑩賃金 | 時給・月給などが分かる形。下限と上限でもよい | 月給30万円〜40万円 |
| ⑪職業紹介の取扱状況 | 紹介した時期、求職者名、採否など(次の節) | 2行(BさんとEさん) |
同じ求人者から同じ日に複数の求人を受け、受付が同時でなかったときは、その旨も書きます。⑦と⑧は、求人の申込みで伝えられた「変更の範囲」まで書かなくてもよいとされています。⑩を書くときは、賃金が地域の最低賃金を下回っていないかも見ておきます(いずれも要領 第7の6(3)イ)。
求職管理簿の記載事項と記入例
| 要領の項目 | 書くこと | 事業所Aの例(Bさん) |
|---|---|---|
| ①求職者の氏名 | 氏名 | Bさんの氏名 |
| ②求職者の住所 | 住所 | 神奈川県の住所(架空) |
| ③求職者の生年月日 | 生年月日。年齢による就業制限の確認にも使う | 1992年5月10日(架空) |
| ④希望職種 | 希望する職種 | 法人営業(第1希望)、マーケティング |
| ⑤求職受付年月日 | 受け付けた日 | 2026年10月8日 |
| ⑥求職の有効期間 | 有効期間があればその期間。終わったらその都度記録 | 2027年4月7日まで |
| ⑦職業紹介の取扱状況 | 紹介した時期、求人者名、採否など | みほん商事 東京本社(法人営業・10月5日受付の求人) |
⑦の求人者名は、同じ会社から求人が複数あるとき、どの求人か分かるように書きます。④に希望の順位を残しておくと、事業報告書で「希望順位がいちばん高い職種」に数えるときに迷いません(要領 第7の7(4))。
有効期間は、求人も求職も「ある場合は書く」項目です。ただ、期間を決めておかないと、3月31日時点で有効だったかどうかを後から判断しにくくなります。有効期間を設けるなら、受付のときに相手へ説明しておきます(要領)。
職業紹介の取扱状況の書き方
求人管理簿の⑪と求職管理簿の⑦は、同じ紹介を両側から書く欄です。
| 書くこと | Bさん(採用) | Eさん(不採用) |
|---|---|---|
| 紹介した時期 | 2026年10月20日 | 2026年10月20日 |
| 採用・不採用の別 | 採用 | 不採用 |
| 採用年月日 | 2026年12月1日 | ― |
| 無期雇用就職者である旨 | 無期雇用就職者 | ― |
| 転職勧奨が禁止される期間 | 2026年12月1日〜2028年11月30日 | ― |
| 無期雇用就職者の離職状況 | 6か月以内の離職なし | ― |
| 調査を行った日・調査方法 | 2027年6月7日・雇用主への書面照会 | ― |
紹介によって無期雇用で就職した人には、就職から2年間、転職を勧めてはいけません(要領 第9の5(4)イ)。管理簿に書く期間は「採用年月日から、2年後の応当日の前日まで」です。12月1日採用なら11月30日で終わります。佐賀労働局の記載例も、R6.6.1採用に対してR8.5.31としています。
離職状況は、次のどちらかで書きます(要領 第7の6(3)イ)。
- (a) 6か月以内に辞めたか(解雇は除く)。分からなかったときはその旨。あわせて、調べた日と調べ方
- (b) 6か月以内に辞めたことで、返戻金制度による返金をしたかどうか
(a) で書く場合は、雇用主に問い合わせます。要領には、雇用主あての確認文の例(様式例第6号)が載っています。(b) は、返戻金制度で手数料を免除した人数で数える場合の書き方で、雇用主への調査は要りません(施行規則第24条の8第6項)。
他社と業務提携して紹介したときは、取扱状況と離職状況を誰が書くかを提携先と決め、その一者が書きます(要領 第9の7(9))。企業説明会で集めただけで、求人・求職の申込みに至っていない情報は、管理簿に書かなくてかまいません(要領 第7の6(1))。
手数料管理簿の記載事項と記入例
| 要領の項目 | 書くこと | 事業所Aの例 |
|---|---|---|
| ①手数料を支払う者の氏名又は名称 | 支払った者。事業所が複数あれば、求人申込みをした事業所 | 株式会社みほん商事 東京本社 |
| ②徴収年月日 | 手数料の支払いが行われた日 | 2027年1月29日 |
| ③手数料の種類 | 求人受付手数料・紹介手数料など | 紹介手数料(届出制) |
| ④手数料の額 | 徴収した額 | 1,925,000円(税込) |
| ⑤手数料の算出の根拠 | 賃金と割合など | 理論年収500万円×35%=175万円、消費税17.5万円(Bさん分) |
理論年収は、手数料表で使う見込みの年収です。
②は入金のあった日です。請求書を出した日や入社日ではありません。1件の手数料を分けて受け取ったら、入金ごとに行を分けると、入金日がそのまま残ります。
④の消費税について、佐賀・山口・福島の各労働局の記載要領は、消費税を受け取っているなら税込みで書くとしています。福島労働局の記載例は、税込みか税抜きかを明記するよう添えています。⑤に税抜きの額と消費税を分けて書いておくと、あとで事業報告書の数字と照らすときにも迷いません。
⑤は、宮城・山口労働局の記載例にならって、計算式の形で書くと見返しやすくなります。誰の紹介の手数料かも、ここか備考に書いておきます。第二種特別加入保険料(家政婦(夫)紹介に関わる労災保険料)を受け取っている事業者は、その額を一般の手数料と分けて書きます(要領 第6の1(6))。多くの人材紹介会社には関係しません。区分の方法は要領 第6の5にあります。
事業報告書(様式第8号)との対応
毎年4月に出す職業紹介事業報告書の数字は、ほとんどがこの2つの帳簿から拾えます。宮城労働局の記載例は、報告書に計上する欄を網掛けにして「随時点検すること」と添えています。
| 様式第8号の欄 | 拾う管理簿の項目 | 事業所Aの例 |
|---|---|---|
| 4欄① 求人数・有効求人数 | 求人の受付日・求人数・有効期間 | 求人数2人。2027年3月31日には有効期間切れ |
| 4欄② 新規求職申込件数・有効求職者数 | 求職の受付日・有効期間 | Bさんの申込は新規求職申込件数の1件 |
| 4欄③ 就職件数 | 採用年月日・無期雇用就職者である旨 | 無期雇用1件 |
| 4欄④ 離職・不明 | 無期雇用就職者の離職状況 | 2028年4月提出分で使う |
| 6欄 収入状況 | 徴収年月日・手数料の額 | 2027年4月提出分に入る |
離職欄だけは、1年前の年度の就職者が対象です。2026年12月入社のBさんの離職状況は、2028年4月に出す報告書で使います。人材サービス総合サイトの離職者数はそれより早く、遅くとも2027年12月31日までに2026年度分へ更新します(施行規則第24条の8第3項・第4項)。
手数料は、対象期間に入金されたものを書きます。3月入社で4月入金なら、就職件数と手数料が別の年の報告に分かれます。このあたりの欄ごとの書き方は職業紹介事業報告書(様式第8号)の書き方に、無期雇用の判定は常用・臨時・日雇と無期雇用の数え方にまとめました。
第二種特別加入保険料を受け取った場合は、手数料管理簿の写しを事業報告書に添えて出します(様式第8号 記載要領9)。
よくある間違い
労働局が誤りの例として挙げたものではなく、要領の記載事項と照らして抜けやすいものを並べました。
- 手数料管理簿の日付に、請求日や入社日を書いている
- 求人者の名称が本社名だけで、採用選考をした支店や工場が分からない
- 有効期間が終わったのに、終了の記録をしていない
- 不採用になった紹介を記録していない
- 転職勧奨が禁止される期間を「2年後の同じ日まで」にしている(正しくは前日まで)
- 離職状況を (a) で書いているのに、調べた日と調べ方がない
- 手数料の額だけで、算出の根拠がない
- 事業所が2つあるのに、本社の1冊で済ませている
保存期間と、捨てる前に見ること
| 帳簿 | 2年間を数え始める日 | 事業所Aの例 |
|---|---|---|
| 求人管理簿 | 求人の有効期間の終了後 | 2027年1月31日終了なら、2029年1月31日ごろまで |
| 求職管理簿 | 求職の有効期間の終了後 | 2027年4月7日終了なら、2029年4月7日ごろまで |
| 手数料管理簿 | 手数料の徴収完了後 | 2027年1月29日入金なら、2029年1月29日ごろまで |
2年は職業安定法上の期間です(要領 第7の6(4))。請求書や入金の記録は、法人なら税法上、原則7年の保存が別に要ります(国税庁 タックスアンサー No.5930)。手数料管理簿と請求書を1つのファイルにまとめている場合は、長いほうに合わせて残します。
資料に答えがなかった点
次の3つは、確認した資料に答えがありませんでした。迷ったら、主たる事務所を管轄する都道府県労働局(以下「管轄の労働局」)に聞いてください。
- 有効期間を決めていない求人・求職で、保存期間の2年をいつから数えるか
- 返戻金(返金)を手数料管理簿にマイナスの行として書くべきか
- 事業報告書の6欄の手数料を、税込みと税抜きのどちらで書くか
よくある質問
Q. 1つの求人に3人を紹介しました。行はどう分けますか。
A. 決まりはありません。様式が自由なので、紹介ごとに行を分けても、1行に3人を並べてもかまいません。採否と採用年月日が人ごとに読み取れることが条件です。
Q. 有期の契約で就職した人にも、転職勧奨の禁止期間を書きますか。
A. 書く対象は無期雇用就職者です。転職を勧めてはいけないのも、期間の定めのない契約で就職した人に限られます(要領 第9の5(4)イ)。
Q. Excel の管理簿を労働局に出す必要はありますか。
A. 定期的に出す書類ではありません。事業所に備えておき、立入検査などで求められたら見せます。第二種特別加入保険料を受け取った場合の写しの添付は例外です。
参考にした資料
- 職業安定法・職業安定法施行規則(e-Gov 法令検索)
- 厚生労働省 職業紹介事業の業務運営要領(令和8年10月版)・様式第8号
- 佐賀労働局 職業紹介事業の様式(求人管理簿・求職管理簿・手数料管理簿の Excel と記載例)
- 宮城労働局 手数料管理簿(記載例)
- 山口労働局 手数料管理簿 記載例(令和5年12月)
- 岡山労働局 求人管理簿・求職管理簿
- 福島労働局 手数料管理簿 記載要領
- 国税庁 タックスアンサー No.5930 帳簿書類等の保存期間
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