有料職業紹介の手数料表の書き方【記載例と掲示のしかた】

ROSTER 編集部/公開:

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手数料 / 法定業務 / 開業準備

有料職業紹介事業者が作る手数料表について、上限制と届出制の違い、法令で決まった書き方、様式例第3号に沿った架空の事業所の記載例、届出制手数料届出書(様式第3号)での届出と変更、事業所での掲示と自社サイトでの公開、求人者・求職者への明示、よくある間違いを、職業安定法と業務運営要領をもとに整理しました。

この記事のポイント

  • 届出制の手数料は、手数料表を作って厚生労働大臣に届け出てからでないと受け取れません。
  • 手数料表には、サービスの種類ごとに手数料の額と、誰が払うかを書きます。
  • 料率を変えるときも、変えた額を使う前に様式第3号で届け出ます。

有料職業紹介の手数料を「理論年収の35%」のように自社で決めるなら、手数料表を作り、使い始める前に届け出ます(届出制手数料)。届出は届出制手数料届出書(様式第3号)に手数料表を付け、事業主の管轄の労働局を通して厚生労働大臣に出します。届け出た手数料表は、事業所に掲示するか自社サイトに載せて公開し、求人者と求職者の両方に明示します。

迷いやすいのは、「上限制と届出制のどちらにするか」「算定の元になる賃金をどう書くか」「料率を変えるときの手続」の3点です。この記事では、厚生労働省の様式例に沿って、架空の事業所Aの手数料表を1枚書き上げます。

法令は職業安定法・同施行規則(以下「規則」。e-Gov 法令検索の現行版)、運用は厚生労働省の職業紹介事業の業務運営要領(令和8年10月版。以下「要領」)を下敷きにしました。2026年11月3日に読み直しています。

上限制と届出制の早見表

手数料の決め方は2つあります。東京労働局・大阪労働局とも、手数料表を届け出ている事業者が「ほとんど」と説明しています(東京労働局 職業紹介事業報告書のよくある質問、大阪労働局 職業紹介事業報告書セミナー 令和8年3月)。

項目上限制届出制
額の決まり方規則の別表で最高額が決まっている自社で決め、届け出た手数料表の額
紹介手数料の上限支払われた賃金の11%(6か月分まで)法令の上限はない
求人の受付手数料1件710円まで手数料表に書けば受け取れる
事前の届出要らない様式第3号で要る
受け取れる時期原則、賃金が支払われた日以降求人の申込みを受けた時以降
手数料表の様式例様式例第2号様式例第3号の1〜3

上限制の上限は、消費税の免税事業者だと賃金の10.3%、受付手数料は660円です。期間の定めのない雇用で6か月を超えて働いた場合は、2つの額の大きいほうまで受け取れます。6か月分の賃金の11%と、そこから賞与など(臨時の賃金と3か月を超える期間ごとの賃金)を除いた額の14.8%です(免税事業者は10.3%と13.9%。規則別表)。

求職者からは、原則として手数料を取れません。例外は芸能家・モデルと、年収700万円を超える経営管理者・科学技術者・熟練技能者の紹介だけです(法第32条の3第2項、規則第20条第2項、要領 第6の1(5))。

「理論年収の○%」のように、賃金の11%を超える率で受け取りたいなら届出制です。取扱分野(扱う職種や地域の範囲)ごとに上限制と届出制を使い分けることはできますが、同じ相手に両方を重ねて請求することはできません(要領 第6の1(1))。

上限制の受付手数料(710円)と届出制の手数料も組み合わせられません(要領 第6の1(2)イ)。届出制で求人の受付時に事務費をもらいたいなら、その額を手数料表に書いておきます。

手数料表に書くこと

規則は、手数料表を「役務の種類ごとに」「手数料の額」と「負担する者」が分かる形で作るよう定めています(規則第20条第3項)。役務とは、紹介や相談・助言などのサービスのことです。

厚生労働省は、型ごとに3つの様式例を出しています(要領 第15 様式例第3号)。

  • 一般登録型(3号の1):登録した求職者を紹介する型。成功報酬が中心
  • サーチ/スカウト型(3号の2):条件に合う人を探し出す型。着手金や活動1日あたりの額を書ける
  • 再就職支援型(3号の3):辞める人の再就職を、元の雇用主の依頼で支援する型。相談・助言の手数料は元の雇用主(関係雇用主)、紹介が成立したときの成功報酬は求人者が払う形

どの型でも、表の下に消費税の扱い、許可番号、事業所の名称と所在地を書きます。消費税の課税事業者には、税率が変わっても書き直さずに済むよう「別途加算」の外税表記が勧められています。

架空の事業所Aの記載例

事業所A:2026年10月1日に許可。代表者と紹介担当者の2名で、事務・営業職の正社員を中心に紹介している。消費税の課税事業者。成功報酬だけで、求人の受付時の事務費は受け取らない。

様式例第3号の1(一般登録型)を下敷きに書くと、次のようになります。

サービスの種類及び内容手数料の額及び負担者
求人受理後、求人者に求職者を紹介するサービス(期間の定めのない雇用契約)成功報酬。就職後1年間に支払われる賃金(内定書や労働条件通知書に記載された額)の35%。負担者は求人者
求人受理後、求人者に求職者を紹介するサービス(期間の定めのある雇用契約)成功報酬。雇用契約期間中(1年を超える場合は最大1年分)に支払われる賃金(同上)の35%。負担者は求人者

上記手数料には消費税は含まれておりません。別途加算となります。
許可番号 ○○-ユ-○○○○○○(新規許可の申請と同時に出すときは空欄)
事業所の名称及び所在地 株式会社A 東京都○○区○○

受け取らない手数料の欄(求人受理時の事務費用・付加サービス)は、行ごと削るか「なし」と書けば足りると考えられます(迷うときは管轄の労働局に確認)。様式例も、付加サービスの欄は必ず設けなくてよいとしています。

この表で、内定書に年収500万円と書かれた人が入社すると、手数料は500万円×35%=175万円、消費税17.5万円を足して192.5万円です。

算定の元になる賃金の書き方

様式例の注は、算定の元になる賃金の書き方を2つ示しています。

  • 内定書や労働条件通知書に書かれた年収の○%:入社時点で額が決まるので、請求の時期を契約で決めやすい
  • 就職後1年間に実際に支払われた賃金の○%:残業代も含められるが、賃金が確定するまで請求できない

事業所Aは前者にしています。賞与を含めるか、通勤手当を除くかを契約書で決めることもあるので、手数料表の言葉と契約書の言葉を同じにしておくと、請求のときに揉めません。

書いてはいけない区分

要領は、「その他付加的なサービス」のように何に対していくらかが分からない区分を、手数料表の変更命令の対象になりうる例に挙げています(要領 第6の1(4)ハ)。求人者や求職者の人種・国籍などで額に高低をつけることも、同じく例に挙がっています(要領 第6の1(4)ハ)。

表に書いていない名目の手数料は受け取れません(法第32条の3第1項)。最低手数料や着手金を契約で取り決めるなら、その額を手数料表にも書いておきます。

サーチ型・有期から無期への紹介

人を探し出すサーチ型で、着手金や活動量に応じた額を取るなら、様式例第3号の2を使います。様式例の注は、「活動1日あたり」「活動1時間あたり」のように、何を単位に数えるかをはっきり書くよう勧めています。

有期契約で入社し、その後に期間の定めのない契約へ切り替えることを前提にした紹介もあります。要領は、届出制ならこの場合の手数料表の例として、有期契約が6か月のとき、有期の分は支払われた賃金の一定割合、その後の無期の分は最初の紹介から6か月後〜1年までの賃金の一定割合、と分けて書く形を示しています(要領 第6の6)。切り替えの時点で2回目を請求するなら、その旨を表に書いておきます。

届け出る手順

届出の書類は、届出制手数料届出書(様式第3号)と手数料表です。様式は厚生労働省の業務運営要領のページ(第13 様式集)にあります。窓口・郵送など出し方は管轄の労働局に確かめてください。

  1. 表題の「届出制手数料変更届出書」の文字を消す(変更のときは「届出制手数料届出書」を消す。記載要領1)
  2. ①欄に提出日、⑥欄に手数料表を使い始める日を書く(記載要領2・6)
  3. ⑦欄(届出内容)は、手数料表を別に添付する形にでき、「別紙手数料表のとおり」などと書く(記載要領7)
  4. 許可の申請と同時に出すときは、③欄(許可番号)を空欄にする(記載要領4)
  5. ⑧備考欄に担当者の職・氏名・連絡先を書く(記載要領9)
  6. 正本1部・写し2部の3部を、事業主の管轄の労働局に出す(要領 第6の2(2))

新規の許可では、できる限り許可申請と同時に出すよう指導されています(要領 第6の2(3))。事業所ごとに手数料表が違うなら事業所ごとに作り、同じ表を使うなら備考欄に事業所名を並べれば足ります(記載要領7・8)。

料率を変えるときも、変えた額を使う前に、同じ様式第3号で変更の届出をします(規則第20条第6項)。大阪労働局の案内では、変更届出書は原本1部とコピー2部、手数料表はコピー3部で、手数料はかかりません。

届け出ずに届出制の手数料を受け取ると、6か月以下の拘禁刑または30万円以下の罰金の対象です(法第65条第2号)。

掲示・公開と明示

届け出た手数料表は、事業所内の見やすい場所への掲示、インターネットの利用などで情報提供します(規則第24条の5第4項)。同じ条文で、返戻金制度(早期退職のときの返金の決まり)を書いた書面と、業務の運営に関する規程も対象です。

インターネットで公開するなら、人材サービス総合サイトへの掲載とは別に、自社のサイトに載せます。求人企業がサービスを使うときに必ず見るページに置くのが望ましい、とされています(要領 第9の8(3))。

事務所の壁に貼る1枚と、自社サイトの1ページに、次の5つを並べておくと漏れません。

  • 手数料表
  • 返戻金制度を書いた書面
  • 業務の運営に関する規程(様式例第1号)
  • 許可証(要領 第9の8(8)ハ)
  • 苦情の申出先として、管轄の労働局と相談を受ける団体の名称・所在地・電話番号(要領 第9の8(5)ニ)

明示は掲示とは別の義務です。求人や求職の申込みを受けたら、速やかに書面・FAX・メールなどで手数料に関する事項を示します(法第32条の13、規則第24条の5第2項)。

求職者には、求職者から取る手数料が無くても、求人者から受け取る手数料を示します(要領 第6の3)。手数料表だけでは個々の紹介の額や発生条件が分からないときは、遅くとも紹介するまでに、その紹介の額と条件を明示します。

毎年の人材サービス総合サイトの更新では、手数料に関する事項として、常用就職(無期雇用か4か月以上の有期雇用)1件あたりの平均手数料率も載せます(規則第24条の8第3項第4号)。前年度に常用就職が多かった上位5職種が対象で、10件以下の職種は載せなくてよいとされています(要領 第9の6)。他社の料率の水準を知りたいときも、このサイトで各社の平均手数料率を見られます。数え方は常用・臨時・日雇と無期雇用の数え方で説明しています。

よくある間違い

  • 契約書だけ料率を上げ、手数料表の変更の届出をしていない
  • 自社サイトに古い手数料表が残り、届け出た表と違う
  • 求職者向けの案内に、求人者から受け取る手数料の説明が無い
  • 「1年間の賃金」とだけ書き、見込み額か実際の支払額かが分からない
  • 届出制なのに、上限制の受付手数料710円も別に請求している
  • 事業所を増やしたのに、その事業所の手数料表を出していない

よくある質問

Q. 届出制の料率に上限はありますか。 A. 法令で決まった上限はありません。ただ、特定の者への不当な差別的取扱いや、額があいまいで著しく不当な場合は、手数料表の変更を命じられることがあります(法第32条の3第4項)。料率の水準に迷うときは、届け出る前に管轄の労働局に相談してください。

Q. 手数料表の35%より低い率で契約してもよいですか。 A. 様式例の注は、手数料表に書く額を「限度額」と説明しています。表の額を超えなければ、下回る率で契約すること自体は表の範囲内と読めます。ただし企業ごとに率を変えるなら、差別的取扱いと見られないよう、変える理由を説明できるようにしておくと安心です。

Q. 上限制にするなら、手数料表は要りませんか。 A. 届出は要りませんが、手数料表は作ります。要領は、上限制の手数料も含めた手数料表を明示するとしており、様式例第2号が上限制の手数料表です。掲示・公開の対象でもあります。

Q. 料率の変更は、届け出た日から使えますか。 A. 様式第3号の⑥欄に書いた適用開始日からです。届出は使い始める前に出します。すでに結んだ契約の率をどう扱うかは契約の問題なので、変更前に求人企業へ知らせておきます。

参考にした資料

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