職業紹介事業報告書(様式第8号)の書き方【2027年版】
公開: 2026-10-16
事業報告書 / 様式第8号 / 法定業務
2027年4月30日が期限の職業紹介事業報告書(様式第8号)について、対象期間・提出方法・欄ごとの書き方を、架空の小規模事業所の記入例とよくある間違い、FAQでまとめました。
2027年に出す職業紹介事業報告書は、2026年4月1日〜2027年3月31日の実績を事業所ごとに様式第8号へまとめ、2027年4月30日(金)までに管轄の労働局へ出します。紹介の実績がゼロの年も提出が必要です。
書き方で迷いやすいのは、「3月末時点で数える欄」「離職の欄だけ1年前の就職者が対象」「金額は千円単位」の3点です。この記事では、提出の段取りから欄ごとの書き方まで、架空の小規模事業所を例に順に説明します。
根拠にしたのは、職業安定法と同施行規則(e-Gov 法令検索の現行版)、厚生労働省の業務運営要領(令和8年10月版)、様式第8号の記載要領、大阪労働局・東京労働局の案内です。いずれも2026年10月16日に確認しました。労働局によって案内が少し違うところがあるので、最後は主たる事務所を管轄する都道府県労働局(以下「管轄の労働局」)で確かめてください。
まず全体像
| 項目 | 2027年提出分 | 根拠 |
|---|---|---|
| 提出期限 | 2027年4月30日(金) | 施行規則第24条の8第1項 |
| 対象期間 | 2026年4月1日〜2027年3月31日 | 記載要領2 |
| 離職欄だけの対象 | 2025年4月1日〜2026年3月31日に就職した人 | 記載要領2・5(4) |
| 許可1年目 | 許可日〜2027年3月31日 | 大阪労働局・東京労働局の案内 |
| 作成単位 | 事業所ごと(合算しない) | 施行規則第24条の8第1項 |
| 提出先 | 主たる事務所を管轄する労働局にまとめて | 施行規則第38条第2項 |
| 紙の部数 | 正本1通と写し2通 | 施行規則第38条第3項 |
東京労働局は提出期間を「4月1日から4月30日」と案内しています。3月中に仕上げても、出すのは4月に入ってからです。
様式はどこから取るか
厚生労働省の業務運営要領の掲載ページか、e-Gov から Excel の様式第8号を取得します(厚生労働省「職業紹介事業報告書の電子申請マニュアル」)。東京労働局のページには、実績あり・実績なしの記載例、よくある質問、入力支援フォーム(ベータ版)もあります。
様式は令和7年提出分から職業分類の改定に合わせて変わっており、東京労働局は旧様式では受理できないとしています。前年の Excel は使い回さないでください。なお、2026年10月16日時点で厚生労働省が載せている Excel は、入力案内の日付が令和8年提出分(2025年4月〜2026年3月)のままでした。2027年の提出前に、もう一度取り直すのが安全です。
提出の方法
| 方法 | やること | 注意点 |
|---|---|---|
| 電子申請(e-Gov) | 手続検索で「職業紹介 事業報告」と入れ、事業報告書の提出の手続を選んで Excel を添付する | GビズID(行政手続き用の共通アカウント。現状無料)なら電子署名を省ける。e-Gov のアカウントで出す場合は有料の電子証明書が要る。ファイル名は「(許可番号)職業紹介事業報告書」。控えは返送されない |
| 郵送 | 印刷した第1面・第2面を送る | 正本1通・写し2通。控えの返送用に、切手を貼った返信用封筒かレターパックを同封する |
e-Gov の手続名は、厚生労働省のマニュアルでは「職業紹介事業に係る事業報告書の提出」、東京労働局の令和8年の案内では「有料職業紹介事業者の事業報告書の提出」と表記が分かれています。派遣の事業報告など別の手続で出すと受け付けられない(東京労働局)ので、画面の手続名をよく見て選んでください。
電子申請は控えが返ってこないため、添付したファイルは手元に保存しておきます。大阪労働局は、記載内容について電話で確認することがあると案内しています。郵送の控えが戻るまでは2〜4か月ほどかかります(東京労働局 よくある質問)。
記入の前に押さえる区分
常用・臨時・日雇
求人・求職・就職の数は、雇用の期間で3つに分けます(記載要領5(5))。
| 区分 | 意味 | 書き方 |
|---|---|---|
| 常用 | 期間の定めなし、または4か月以上の期間を定めた雇用 | 人数(件数) |
| 臨時 | 1か月以上4か月未満の期間を定めた雇用 | 延数(人日) |
| 日雇 | 1か月未満の期間を定めた雇用 | 延数(人日) |
延数は「雇用期間の日数×人数」で、休日も日数に含めます。たとえば4月1日〜5月31日(61日)の求人が3人分なら、183人日です(東京労働局 記載例)。4か月ちょうどの有期契約は、更新がなくても常用です(大阪労働局「職業紹介事業報告書セミナー」令和8年3月)。
無期雇用と「それ以外」
常用の就職件数は、期間の定めのない契約(無期雇用)と、4か月以上の有期雇用(それ以外)に分けます。正社員かパートかは関係ありません(大阪労働局 同セミナー)。
職種の区分
職種は、令和4年版の厚生労働省編職業分類の中分類(001〜099)で分けます(業務運営要領 第7の7(4))。名前の似た「日本標準職業分類」とは別物です。家政婦(夫)・調理師・医師・保育士・特定技能などは、中分類とは別の区分で書きます。求職者が複数の職種を希望しているときは、希望順位がいちばん高い職種にだけ数えます。
欄ごとの書き方(架空の事業所Aで)
数字はすべて説明用の架空のものです。
事業所A:2026年10月1日に許可。代表者(職業紹介責任者を兼務)と紹介担当者1名の2名体制。届出制の手数料表で、求人企業から手数料を受け取っている。紹介予定派遣はしていない。
1〜3欄:許可番号・事業所・紹介予定派遣
2欄はその事業所の名称と所在地です。本店の住所を書いてしまう誤りが多いと、大阪労働局は注意しています。
3欄の紹介予定派遣(派遣先に直接雇用されることを前提にした派遣)は、対象期間に実績があるときだけ「有」にします。派遣の許可があっても、実績がなければ「無」です。「有」の場合は、4欄と6欄の各区分に紹介予定派遣の分を( )で内数として書き、「計」には足しません(記載要領5(1)、大阪労働局 同セミナー)。事業所Aは「無」です。
4欄①求人・②求職
| 項目 | 数える範囲 | 事業所Aの例(常用) |
|---|---|---|
| 有効求人数 | 2027年3月31日時点で有効な求人の人数 | 7 |
| 求人数 | 期間中に受け付けた求人+期首に有効だった求人 | 12 |
| 新規求職申込件数 | 期間中の申込件数 | 18 |
| 有効求職者数 | 2027年3月31日時点で有効な求職者の数 | 11 |
1社から3名分の求人を受けていれば「3」と数えます。同じ人がいったん取り消して申し込み直したら、申込は2件です(大阪労働局 同セミナー)。複数の事業所で同じ求人を扱っていても、求人数は1つです(業務運営要領 第7の7(5)①)。
3月末時点の数は、4月になってからだと遡って数えにくい数字です。3月31日の業務終わりに、有効求人数・有効求職者数・従事者数の3つを控えておくと、4月の作業がかなり楽になります。
4欄③就職
| 求職者 | 雇用の形 | 区分 |
|---|---|---|
| Bさん | 正社員(期間の定めなし) | 常用・無期雇用 |
| Cさん | パート(期間の定めなし) | 常用・無期雇用 |
| Dさん | 6か月の有期契約 | 常用・それ以外 |
就職件数は、無期雇用2件、それ以外1件です。Cさんはパートでも期間の定めがないので無期雇用に入ります。
どの時点で1件と数えるかについて、東京労働局のよくある質問は「期間中に採用の連絡があったもの」としています。2027年4月1日付の採用でも、連絡を3月31日までに受けていれば今回の報告に入ります。他社と業務提携して紹介した場合は、実際にあっせんした事業者だけが就職件数と手数料を報告します(業務運営要領 第7の7(5)②)。
4欄④離職
離職欄には、2025年4月1日〜2026年3月31日に無期雇用で就職した人のうち、就職から6か月以内に辞めた人の数を書きます。解雇は除きます。辞めたかどうか確認できなかった人は「不明」に入れます(記載要領5(4))。基準は離職日ではなく就職日です(大阪労働局 同セミナー)。
事業所Aは2026年10月に許可を受けたので、2025年度の就職者はいません。許可1年目は、ふつうこの欄が0になります(法令の文言から導いた整理です)。
6欄 収入状況
まず、手数料の欄が2種類あることを押さえます。
| 方式 | 中身 | 書く欄 |
|---|---|---|
| 上限制 | 法令で決まった上限の範囲で受け取る | 求人者(上限制)手数料・求人受付手数料 |
| 届出制 | 事前に届け出た手数料表に基づいて受け取る | 求人者(届出制)手数料 |
東京労働局・大阪労働局とも、ほとんどの事業者は届出制だと説明しています。届出制の手数料表で求人受付の手数料を定めて受け取った分も、「求人者(届出制)手数料」に入れます(大阪労働局 同セミナー)。
金額は、対象期間中に入金された手数料を書きます(大阪労働局 同セミナー。東京労働局の記載例も「受け取った金額」)。単位は千円で、百円の位を四捨五入します。
事業所Aの3件(理論年収=手数料表で使う見込み年収×料率)は、すべて3月末までに入金されたとします。
| 求職者 | 理論年収 | 料率 | 手数料(税抜) | 手数料(税込) |
|---|---|---|---|---|
| Bさん | 500万円 | 35% | 1,750,000円 | 1,925,000円 |
| Cさん | 400万円 | 30% | 1,200,000円 | 1,320,000円 |
| Dさん | 360万円 | 25% | 900,000円 | 990,000円 |
| 合計 | 3,850,000円 | 4,235,000円 |
千円単位にすると、税込で「4,235」、税抜で「3,850」です。「4,235,000」と円のまま書くと、約42億円の意味になります。
税込・税抜のどちらで書くかは、確認した公式資料に書かれていませんでした。管轄の労働局に確認してください。
3月入社の人の手数料が4月に入金された場合、就職件数は今回、手数料は翌年の報告に入ることがあります。手数料管理簿の入金日と照らして、数字のずれに説明がつくかを見ておくと安心です。
7〜9欄と担当者欄
- 7欄 従事者数:3月末時点で職業紹介の業務に就いている人数。職業紹介責任者も含めます(記載要領10、大阪労働局 同セミナー)。事業所Aは2名です。
- 8欄 返戻金制度:紹介した人が早く辞めたときに手数料の一部を返す仕組みの有無と、有の場合はその概要(記載要領11)。事業所Aなら「入社後3か月以内の自己都合退職は手数料の50%を返金」のように書きます。
- 9欄 従業員教育:職業紹介責任者が統括する従業員に研修を受けさせた日時・人数・内容。東京労働局は、人数に責任者を含めないこと、「随時」ではなく実施した日時と回数が分かるように書くこと、未実施なら「未実施」と書くことを案内しています。責任者1人だけの事業所は記載不要です。
大阪労働局は、問い合わせ用に第1面の右下へ担当者名と連絡先を書くよう求めています(東京労働局の様式には欄があります)。押印は不要です(大阪労働局 同セミナー)。
実績がない年
東京労働局の案内では、1・2・3・7・8・9欄を書き、第1面の余白に「実績なし」と書きます。東京労働局は実績なし用の記載例も別に載せています。
よくある間違い
大阪労働局のセミナー資料と東京労働局のよくある質問で、誤りが多いとされている点です。
- 2欄に本店の所在地を書いている
- 4か月の有期雇用を「臨時」に入れている(正しくは常用)
- 臨時・日雇を人数で書いている(正しくは延数)
- 収入を円のまま千円欄に書いている
- 離職を離職日で数えている(正しくは就職日)
- 届出制の手数料を上限制の欄に書いている
- 届出制の手数料があるのに、就職件数が空欄
- 紹介予定派遣の内数を「計」に足している
- 古い様式や、日本標準職業分類を使っている
出さなかったらどうなるか
期限までに出さないと、法第50条第1項に基づいて報告を求められることがあります。それにも応じない、または虚偽の報告をすると、30万円以下の罰金の対象です(職業安定法第66条第9号、厚生労働省 電子申請マニュアル)。大阪労働局は、未提出は是正指導や改善命令・事業停止命令の対象になり、行政処分になれば企業名が公表されると説明しています。
提出したあとにやること
人材サービス総合サイト(厚生労働省が運営する、職業紹介事業者の情報を公開するサイト)の更新です。就職者数は、5月1日からは前年度分を載せていなければなりません(施行規則第24条の8第3項・第4項)。平均手数料率も、報告書の提出後速やかに載せます(業務運営要領 第9の6(1))。
よくある質問
Q. 2027年2月に許可を受けて、まだ紹介がありません。出す必要はありますか。
A. あります。対象期間は許可日から3月31日までで、実績なしとして出します(東京労働局の案内)。
Q. 事業所が2つあります。1枚にまとめてもいいですか。
A. まとめられません。事業所ごとに作り、主たる事務所を管轄する労働局へまとめて出します(厚生労働省 電子申請マニュアル)。
Q. 千円未満の端数はどうしますか。
A. 百円の位を四捨五入します(大阪労働局・東京労働局)。ただ、東京労働局の記載例には「215,918円→215千円」と切り捨てに見える例もあります。判断に迷う金額があれば管轄の労働局に聞いてください。
Q. e-Gov で出した場合、控えはもらえますか。
A. 紙の控えはありません。審査の状況は e-Gov の申請案件一覧で確認できます(大阪労働局 同セミナー)。
提出前のチェックリスト
- 今年掲載された最新の様式を使っているか
- 許可1年目なら、対象期間を許可日からにしているか
- 事業所ごとに作り、2欄は事業所の所在地か
- 有効求人数・有効求職者数・従事者数は3月31日時点か
- 4か月以上の有期雇用を常用に入れ、無期雇用とそれ以外に分けたか
- 職種は厚生労働省編職業分類の中分類か
- 離職欄は2025年度の就職者で数えたか(許可1年目は通常0)
- 手数料は期間中の入金で、千円単位・届出制の欄か
- 9欄の人数に責任者を入れていないか
- 電子申請はファイル名を「(許可番号)職業紹介事業報告書」に、郵送は3部と返信用封筒をそろえたか
参考にした資料
- 職業安定法・職業安定法施行規則(e-Gov 法令検索)
- 厚生労働省 職業紹介事業の業務運営要領(令和8年10月版)と電子申請マニュアル
- 大阪労働局「職業紹介事業報告書セミナー」令和8年3月
- 東京労働局 有料・無料職業紹介関係(事業報告について)
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