人材紹介の推薦文の書き方と例文【3職種の例と書いてはいけない情報】
ROSTER 編集部/公開:
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人材紹介会社のキャリアアドバイザーが求人企業へ送る推薦文について、書く順番、そろえる材料、営業職・ITエンジニア・介護職の架空の例文、書いてはいけない情報、企業に渡す前に要る本人の同意を、職業安定法・指針・業務運営要領をもとに整理しました。
この記事のポイント
- 推薦文の
冒頭2文で、 求人の どの 要件に 何の 経験で 合うかを 先に 伝えます。 - 本籍・出生地、
思想・信条、 労働組合への 加入状況は、 原則と して 集めず 書きません。 - 企業に
候補者の 情報を 渡す前に、 本人の 同意を あらかじめ得て おく 必要が あります。
推薦文は、求人のどの要件に候補者のどの経験が合うかを、職務経歴書と面談で確かめた事実で伝える文書です。書く順は「要約、要件ごとの根拠、転職理由、面接で確かめてほしい点と条件」の4段です。本籍・出生地や思想・信条などは、原則として集めず、推薦文にも書きません。
迷いやすいのは、「懸念をどこまで書くか」「候補者が話した家庭の事情を書いてよいか」「企業に送る前に何の同意が要るか」の3点です。この記事では、営業職・ITエンジニア・介護職の架空の候補者3人で、推薦文を通しで書いてみます。
法令まわりの下敷きにしたのは、職業安定法・同施行規則・個人情報保護法(e-Gov 法令検索の現行版)、厚生労働省の業務運営要領(令和8年10月版。以下「要領」)、要領に収められた指針(平成11年労働省告示第141号。以下「指針」)です。2026年10月21日に読み直しました。
推薦文の型(早見表)
| 段 | 書くこと | 材料 | 分量の目安 |
|---|---|---|---|
| 1. 要約 | どの求人に誰を推すか。求人票のどの要件に当てはまるか | 求人票の必須要件、職務経歴書 | 2文 |
| 2. 要件ごとの根拠 | 要件に効く経験を、場面・行動・結果の順で | 職務経歴書、面談メモ | 2〜4文 |
| 3. 転職理由と志向 | 転職のきっかけと、次の職場でしたいこと | 面談メモ(本人の言葉) | 2文 |
| 4. 確かめてほしい点と条件 | 経験の足りない点、希望年収、入社時期、退職の進み具合 | 面談メモ、本人の希望 | 2〜4文 |
| 結び | 面接の機会をお願いする一文 | ― | 1文 |
例文はどれも500〜600字ほどです。企業の採用管理システムに入力欄がある場合は、その字数に合わせて2と4を削ります。
1段目に求人票の言葉を使うと、採用担当者は求人票と見比べずに判断できます。「優秀」「即戦力」のような評価語だけの文は、根拠になりません。評価を書きたいときは、その評価に至った行動や数字を書きます。
書く前にそろえる4つの材料
- 求人票の必須要件と歓迎要件。必須要件は3つ以内に絞り、推薦文で触れる順を決めておく
- 職務経歴書の事実。社名・期間・担当・数字を、職務経歴書の表記どおりに写す
- 面談メモ。本人の言葉と、担当者の所見(受けた印象)を分けて残す
- 企業に伝えてよい範囲。現職の社名、他社の選考状況、希望年収のうち、どれを伝えてよいかを本人に確かめる
4つ目を面談の最後に確かめておくと、書き終えてから本人に聞き直す手間が減ります。
数字は、職務経歴書にあるものと本人が口頭で話したものを区別します。推薦文では、本人申告の数字に「(本人申告)」と添えておきます。面接で数字を聞かれたとき、企業も本人も同じ前提で話せるからです。
職務経歴書にない実績を、推薦文で書き足さないでください。面談で新しく出てきた実績は、職務経歴書のほうに書き加えてもらってから推薦文に使います。
例文1 法人営業(架空の候補者Aさん)
求人はSaaS企業のX社(架空)の法人営業で、必須要件は「新規開拓の経験3年以上」です。歓迎要件に「無形商材の営業経験」があります。
X社 人事部 採用ご担当者様
法人営業(中小企業向け新規開拓)の求人に、Aさん(34歳)をご推薦いたします。中小企業への新規開拓を7年続けており、ご要件の「新規開拓の経験3年以上」に当てはまる方です。
現職は事務機器の販売会社で、従業員50名以下の会社を中心に、年間およそ120社を新規に訪問しています。2025年度の売上目標に対する達成率は112%です(職務経歴書に記載)。面談では、社長が1人で決める会社ほど導入後の使い方まで先に説明して受注につなげてきたと、具体的な商談の例を挙げて話されました。
転職のきっかけは、売り切りの商談が中心で、導入後に顧客と関わる機会が少ないことだそうです。継続して使ってもらうサービスで、利用の定着まで担当したいと話しています。
SaaSの営業経験はありません。月額課金の商材を扱った経験と、ITツールの説明への慣れを、面接でご確認いただけますと幸いです。希望年収は550万円、入社は2027年1月以降を希望しており、現職にはまだ退職の意向を伝えていません。
ぜひ一度、面接の機会をいただけますようお願い申し上げます。
なぜこう書くか。
- 1段目は求人票の必須要件の言葉をそのまま使い、何に当てはまるかを先に示す
- 112%には出どころを添える。企業が職務経歴書で同じ数字を確かめられる
- SaaS未経験は伏せず、面接での確認事項として書く。退職の意向をまだ伝えていないことも、入社時期の見通しに響くので書く
例文2 ITエンジニア(架空の候補者Bさん)
求人はY社(架空)のバックエンドエンジニアで、必須要件は「Goでの開発経験2年以上」と「AWSでの運用経験」です。Bさんからは、面接が決まるまで現職の社名を伏せてほしいと言われています。
Y社 採用ご担当者様
バックエンドエンジニアの求人に、Bさん(29歳)をご推薦いたします。Webアプリケーションの開発に5年携わり、ご要件のGoでの開発とAWSでの運用の両方を経験しています。
現職はEC事業会社です(社名はご本人の希望により、面接の日程が決まった時点でお伝えします)。直近2年は決済機能の改修チーム(3名)のリーダーとして、Goで書かれた決済APIの改修と、AWS上の監視の整備を担当しました。障害のたびに振り返りを文書に残す運用をチームに根づかせた経緯を、面談で具体的に伺っています。
転職のきっかけは、開発の優先順位が短い周期で入れ替わり、設計を見直す時間を取りにくいことだそうです。プロダクトの設計の段階から関わりたいと話しています。
ご要件にある月間100万人規模のサービスは、現職の規模(月間約20万人・本人申告)を上回ります。負荷対策の経験の深さを、技術面接でご確認ください。希望年収は650万円以上、在宅勤務は週3日以上を希望しています。入社は内定から2か月後が目安です。
ご検討のほど、よろしくお願いいたします。
なぜこう書くか。
- 社名を伏せる理由を一言添え、いつ開示するかも書く。企業は「なぜ書いていないのか」で迷わずに済む
- 規模の差は数字で並べ、足りない点を技術面接の論点として渡す
- 技術名は求人票の表記に合わせる。採用担当者が技術に詳しくなくても照合できる
例文3 介護職(架空の候補者Cさん)
求人はZ社(架空)の介護付き有料老人ホームのフロアリーダー候補で、必須要件は「介護福祉士」と「リーダー経験」です。Cさんは面談で、家庭の事情から夜勤を減らしたいと話しました。
Z社 施設長 様
フロアリーダー候補の求人に、Cさん(41歳)をご推薦いたします。介護福祉士の資格を持ち、特別養護老人ホームで8年、うち2年はユニットリーダーを務めた方です。
ユニットリーダーとしては、入居者10名のユニットで、職員7名のシフト作成と新人職員の指導を担当しました。転倒が続いた時期に職員と話し合い、見守りを厚くする時間帯を変えた取り組みについて、面談で順を追って伺いました。
転職のきっかけは、入居者お一人おひとりと関わる時間をもっと取りたいと考えたことだそうです。ご家族との連絡やレクリエーションの企画にも関わりたいと話しています。
有料老人ホームでの勤務経験はなく、前職の介護記録は紙とシステムの併用でした。夜勤は月4回までを希望しています(ご本人の了承を得て記載しています)。希望月給は28万円以上で、入社は2027年2月を希望しています。
一度お会いいただき、現場の様子もご説明いただけますと幸いです。
なぜこう書くか。
- 夜勤の希望は条件として書き、家庭の事情という理由は書かない
- 取り組みの例は、結果の数字がないため「面談で伺った」と出どころを明かして書く
- 記録システムの経験の差は、入社後の研修で埋まるかを企業が判断できるよう、事実だけを書く
夜勤の理由を書かないのは、家族の健康や家庭環境が、就職差別につながるおそれがある事項として挙げられているからです(厚生労働省「採用選考時に配慮すべき事項」)。企業が知る必要があるのは「月4回まで」という条件のほうです。
推薦文に書いてはいけない情報
職業紹介事業者は、業務の目的に必要な範囲で、目的を明らかにして求職者の個人情報を集めます(職業安定法第5条の5第1項)。そのうえで指針は、次の3つを原則として集めてはならないとしています(指針 第5の1(2))。集めない情報は、推薦文にも書きません。
| 区分 | 具体的な例 | 根拠 |
|---|---|---|
| 社会的差別の原因となるおそれのある事項 | 人種、民族、社会的身分、門地、本籍、出生地。家族の職業・収入、本人の資産、容姿 | 指針 第5の1(2)イ、要領 第9の4(1)ロ |
| 思想及び信条 | 人生観、生活信条、支持政党、購読新聞・雑誌、愛読書 | 指針 第5の1(2)ロ、要領 第9の4(1)ロ |
| 労働組合への加入状況 | 労働運動、学生運動、消費者運動その他の社会運動 | 指針 第5の1(2)ハ、要領 第9の4(1)ロ |
例外は、特別な職業上の必要性があるなど業務の目的に欠かせず、収集の目的を示して本人から集める場合だけです(指針 第5の1(2)ただし書)。候補者が自分から話したことでも、推薦文に書いてよいことにはなりません。
病歴は、個人情報保護法の「要配慮個人情報」に当たります(同法第2条第3項)。取得するにはあらかじめ本人の同意が要ります(同法第20条第2項)。勤務に関わる配慮が必要な場合も、例文3と同じく、企業に伝える内容と書き方を本人と決めてから書きます。
業務で知った人の秘密を、正当な理由なく漏らしてはなりません(職業安定法第51条第1項)。違反は30万円以下の罰金の対象です(同法第66条第11号)。要領は、秘密に当たりうるものとして本籍地、出身地、支持・加入政党、借入金額、保証人になっている事実などを挙げています(要領 第9の4(2)ロ)。
送る前に本人から得ておく同意
求人企業に求職者の個人データを示すことは、個人情報保護法第27条第1項の「第三者提供」に当たります。要領は、求職申込書に同意欄を設けるなどして、必ず求職者からあらかじめ同意を得るよう求めています(要領 第9の4(1)ホ)。同意の取り方に決まった形はありませんが、書面など後から確かめられる形が望ましいとされています。
集める段階での目的の示し方も決まっています。「職業紹介事業のために使用します」だけでは足りません。要領は、応募したい求人先へ応募情報を渡すために使う、という程度まで具体的に示す例を挙げています(要領 第9の4(1)イ、施行規則第4条の4)。
ここまでが法令と要領の求めです。実務では、応募先ごとに本人の応募の意思を確かめ、送る書類と伏せる情報をその場で決めておくと、行き違いが起きにくくなります。
求職者の個人情報の管理は、事業所ごとに選んだ職業紹介責任者が統括する事項です(職業安定法第32条の14第2号)。新しく入った担当者の推薦文は、送る前に職業紹介責任者が目を通すと決めておく方法もあります。
送る前の確認リスト
- 1段目に、求人票の必須要件の言葉が入っている
- 数字ごとに、職務経歴書の数字か本人申告かが分かる
- 職務経歴書にない実績を書き足していない
- 評価語(優秀・即戦力など)だけの文がない
- 経験の足りない点を、面接での確認事項として書いている
- 本籍・出生地、家族のこと、思想・信条、労働組合に関わることを書いていない
- 病歴や健康のことは、本人の同意を得た範囲だけを書いている
- 現職の社名、他社の選考状況など、本人が伏せてほしいと言った情報が入っていない
- この応募先に情報を渡すことを、本人が了承している
- 宛名の社名・部署・求人名が、別の企業の推薦文のままになっていない
よくある質問
Q. 同じ候補者を3社に推薦します。推薦文は使い回してよいですか。 A. 2段目から後は共通にできます。1段目の要約と、4段目の確かめてほしい点は、求人ごとの必須要件に合わせて書き直します。宛名と求人名の差し替え漏れは、確認リストの最後の項目で拾います。
Q. 応募前に、名前を伏せた経歴だけで企業に打診してもよいですか。 A. 名前を伏せても、現職の社名・役職・年齢を組み合わせると個人が特定できることがあります。職業安定法の「個人情報」には、他の情報と照らして個人を特定できるものも含まれます(同法第4条第13項)。打診する前に、どの範囲を伝えるかを本人に確かめてください。迷う場合は管轄の労働局に相談します。
Q. 生成AIで推薦文の下書きを作ってもよいですか。 A. 職業安定法と要領を読んだ範囲では、推薦文の作成にAIを使うこと自体を禁じる定めは見当たりませんでした。ただ、AIに入れるのは求職者の個人情報です。誰がどのサービスに入れてよいかを、個人情報の適正管理に関する規程(要領 第9の4(2)ハ)で決めておきます。下書きの実績や数字は、職務経歴書と面談メモで1つずつ確かめてから送ります。
Q. 企業から「推薦文は短くていい」と言われました。何を残しますか。 A. 1段目の要約と、4段目の条件(希望年収・入社時期)を残します。経験の足りない点は、短くしても1文は残しておくと、面接で話が食い違いにくくなります。
参考にした資料
- 職業安定法・職業安定法施行規則(e-Gov 法令検索)
- 個人情報の保護に関する法律(e-Gov 法令検索)
- 厚生労働省 職業紹介事業の業務運営要領(令和8年10月版)。第9の4に個人情報の取扱い、第9の末尾に指針(平成11年労働省告示第141号)の全文があります
- 厚生労働省 公正な採用選考をめざして「採用選考時に配慮すべき事項」
ROSTER では、候補者の職務経歴・スキル・面談メモと求人の条件から、推薦文の下書きを AI で作れます。要約、要件との一致、転職理由と志向、結びの順で書き、材料にない実績は書き足しません。推薦前に本人や企業へ確かめるべき点も一覧で出ます。書いてはいけない情報を自動で見分ける機能はないため、送る前の確認はご自身で行ってください。確定した推薦文は推薦状として印刷・PDF保存でき、別の求人向けに確定した推薦文を載せたときは注意が出ます。生成は Free プランでも月30回まで使えます。プランごとの回数は料金ページで確かめられます。
